2011.11.02 建築学会関東支部 ZEBシンポ開催
2011年11月2日に、建築会館ホールで開催した「ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)の実現」、盛況の内に終了致しました。講師の皆さま、聴衆としてご参加くださった皆さま、篤く御礼申し上げます。有料イベントにもかかわらず、180名もの方が集まり、このテーマへの関心の高さを改めて感じました。
講演の内容も、世界の状況、世界の実例、日本の(ZEBに近い)実例、日本の強みとも言える統合関連について網羅的に情報提供が行われ、非常に有意義な会だったのではないかと自画自賛しております。参加された方のご意見も是非伺ってみたく、コメント頂ければ幸いです。
何より、本シンポの成果はZEBというある種の熱狂の中で、冷徹に世界の状況を分析し、日本が取るべき政策や技術開発を見定めるべきだ、との「頭を冷やせ!」的結論で、それでどうするの? というところまでは議論が進まず消化不良ではありましたが、現時点では良かったのではないかと思います。
水石さんが仰った、「ZEBをやっていないのはドイツと日本だけ」というコメントは、遅れているわけではなく真面目に取り組みすぎているだけという趣旨で、示唆に富んでいました。
まとめると
・制度面でのバックアップは欧米で進んでいるが、必ずしも全てが従っているわけではないし、政策として本当に実施されるかどうかは分からない
・ZEBというのはある種のキャッチコピーであって、建築産業以外の産業と建築分野が消費先として競争するためのもの
・ZEB自体も、ある種の経済ゲームのようなものだ
・世界ではZEB競争が始まっており、日本ブランドのZEBがないのは、日本の存在感や技術力ブランドの低下につながっている
・日本が技術的に劣っているわけではないが、制御技術など一部を除けば特に優れているとも言えなくなっている
・海外は建築もコモディティ化しており、日本の技術を支える機器や部品が海外で調達できない。差別化が難しい。日本の建築分野のガラパゴス化が進んでいる。
・省エネルギー基準など、建築基準の改正は着実に進んでおり、その土俵の中で勝負するしかない
ZEBとは何なのか? とか、どういう意味があるのか? とか、小規模は簡単だと、大規模だと難しいよね! 大量にパネル付ければ良いけど、それで良いの? とか、真面目に考えて逡巡しているのはドイツと日本だけで、他の国はできたところから市場にとりあえず出してブランドを確立して、先行者利益を確保して、都合の良いように制度も作っちゃうもんね、というグローバルな競争の中で、既に日本は相当遅れているということが分わかりました。というシンポジウムでした。
その後、懇親会で延長戦をやっていたのですが、
海外で日本の優位性は何なの? と聞かれると、実際答えるのが難しい。とか、じゃあいったい何に注力して伸ばしていくのか? という事が話題になりました。
そこで日本の強みを分析すると、
・現在のZEBは新築ばかりで改修モノがない
・日本は新築が減り、ストックの改修がふえる
・改修の方が、経験や求められる技術水準が高い
ということで、日本としては、半周遅れで新築ZEB競争に打って出るのではなく、リノベーションZEBとして一気に世界の先頭に出る。という戦略をとるべきではないか? というのが僕の結論だったのですが、どうでしょうか?
でプロジェクトとして
ロンドン、丸の内、ニューヨーク、バンコク(洪水対策もちゃんとして)で、リノベーションZEBを作る、とかどうでしょうか?
これからさらに円高が進むので、不動産投資も楽だし、コモディティ化しているものは現地調達して、半ハード半ソフトで売る。