Notes

20120714 早稲田まちづくり国際シンポジウム


後半最初の北原啓司先生の講演。共生の由来として浄土教の共生「ともいき」を説明。
かつて黒川紀章が「共生の思想」で「ともいき」を「きょうせい」として説明し、一般化したのですが、元は黒川記章も通った東海高校の校長をしていた椎尾弁匡先生が熱心に研究されていた思想。黒川紀章は高校時代の校長先生の話を建築的思想に応用したわけです。
そういう根本に立ち返って、「共生(きょうせい・ともいき)」さえを見直そうとするところに、3.11以後のまちづくりの変化を感じます。

シンポジウム第1幕。
千葉大の村木先生が分散型エネルギー、
東大の横張先生が都市内緑地と農
東大の中村先生が都市河川
URの北奥さん
が登壇
緑系はいいよな~ という感想。市民の緑や農に対する関心は高いし、空き地はどんどん出てくるし。いろいろ問題はあるにせよ、大きな障害というものがそれほどない。
一方、水系やエネルギー系は、既に生態系か完成しており、それをどのように置き換えるか? そこに経済性があるのかないのか? ということが常に問題となる。水系では雨水もまとめて処理する合流式の問題は分かるのだが、これからどう整備するかではなく、既に完成してしまっているわけで、では河川の水を再生するためにもう一本雨水らの管やシステムを別に整備する経済的合理性が果たしてあるのか? 仮にあったとしてもそれに対する市民の了解が得られるのか? どうすればこれをブレイクスルーできるのか? 先生方も悩んでいる。
エネルギーにしても、エネルギーの最適に合わせて都市を考える必要を村木先生は最期におっしゃられたが、そんな事は地域冷暖房をやっておられる先生が、20年以上取り組まれていたことで、仮に計画できたとしても経済情勢の変化が大きすぎで、なかなか上手くいかない。最新式の大型発電機の効率が50%を超えて、将来的には60%を視野に入れて開発が行われており、発電所周辺に排熱を利用する施設を集中させれば(プールや病院、宿泊施設や温室など)、なかなか分散型電熱源のメリット見いだせない。なにより、新規開発ならあり得るが、現在系統に依存するシステムができているところを分散型コジェネに置き変える手法が果たしてあるのか? 私自身、考え方としてはこちら側の方が好きなのだが、難しいことが分かっているだけに、都市計画分野にも解がないことにちょっとがっかり。
経済合理性ではないところに解があると僕は思っているのだけれど、つまり、人が大事だと思うこと、お金を掛けてもそれをやる価値があると認識すること、それ自体が楽しいこと、が大事だと思っているのだが、最期に中村先生が、もっと子供が川で遊べることが大切と言われたことに、時間はかかるのだが、結局これしかないのかなあ~と、思う。