総合防災訓練に参加

仙台市泉区の総合防災訓練に参加。
訓練に参加するだけなら、東京のでいいわけだが、今回はエコスクールやZEB対応となった小学校で、太陽光発電などの使い方のヒヤリングも兼ねていたので、このような仕儀になった。

ところが担当の学生が体調不良で不参加となり、インタビューは延期に。防災訓練は年に一回しかないので参加決行となった次第。

折角なので、防災訓練の見学中に、防災訓練のやり方やかかった時間などを計測。避難所でのパーティションの設営にかかる時間、自家発電装置の説明や初めての使用までにかかる時間など。

参加者はいろいろな所を廻って体験や訓練をするのだが、調査担当の学生は一つの訓練を二度、三度と観察して疑問点を見つけては担当者に確認してと、それなりに密な調査に。

面白かったのが、最近普及しているHONDAの小型発電機(カセットコンロのボンベ2本で、900Wが2,3時間いける)の訓練。
ボンベの首の所には、1cmほどの切欠きがあって、それを下向きにしないとロックがうまくいかない。ところがこの切欠きが下になるようにとの指示で、参加者はこれがなかなかうまくできない。蓋のうらには向きなどの指示が書かれているのだが、字が小さくて読まれない。

そのうち参加者から、なぜボンベを上向きにセットするように設計しないのか? と、至極真っ当な疑問と怒り。確かにそうだと思う。

むつざわスマートウェルネスタウン

バイオマスコジェネの災害時の活用と経済性を研究している学生に便乗して、睦沢のむつざわスマートウェルネスタウンを見学に。
2019年の台風での被害で停電が発生した際、コジェネが稼働して周りが停電するなか、ここはコジェネが稼働してシャワーや携帯の充電などを提供したことで一躍有名になった。ここが面白いのは、千葉のこの辺は、日本では珍しく天然ガスが湧いていて、都市ガスも地産できていること。
災害時に発電できたことと、天然ガスが地産であることには直接関係はないが、森林というエネルギーが周辺にあり、それを使ってバイオマスコジェネを動かす、というアイデアとフレームは同じ。

スマート、ウェルネス、今時のマーケティング用語がてんこ盛り。
要はウェルネスとして道の駅に温浴施設を併設、その熱源としてコジェネを導入、その以外にもPVや太陽熱も入れて、併設された町営住宅に自営線を引いて供給。そのための電力会社(PPS)も設立して、その他の町営の施設に供給している。いろいろな補助金を使い倒して上手く組みたてている。プロジェクトとしては、やや設備的にオーバースペックな感じはするが、補助金を取るためのテクニックでもあるし、全体としては矛盾はなく、いいプロジェクトだと感じる。

共同研究先の屋上芋緑化収穫

室外機の間に棚を作って芋を水耕栽培。
日かげになる効果も一定あるが、効果としては排気のショートサーキット抑止の方が大きい。
芋の炭素固定量や水耕栽培に関わるエネルギーなんかも計算しています。
この日は、ビルオーナー関係者らがわちゃわちゃと収穫。

この辺のイベント開催を、ビル管理会社の付加価値として付加していきたいのだが。

タイ 災害防止軽減局 ヒヤリング

タイ内務省のDepartment of Disaster Prevention and Mitigation(Wikiの訳では害防止軽減局)にタイの洪水対策についてヒヤリング。
当初、防災減災の教科書のような説明があって、「何しに来たん?」的なやり取りがあり、
そんなことは分かってんねんけど、土木的な対策と建築的な役割分担、みたいなのが洪水先進国としてのタイにはないんか?

と聞くと、ようやく分かった風で議論が始まる。
答えは「ない」。が自治体レベルではリスクのレベルに応じた規制がかかることもあるが、建ぺい率や被覆の浸透性に関する規制がある程度。

向こうからは、担当部局の役人や研究所の研究員も参加してくれたのだが、研究員っぽい方が非常に関心を持ってくれた。
完全に土木的に解決するとなると、ここからは撤退せよ、という地域が出てくるが、建築的な対策をすれば住み続けられるよ! 的なホリスティックな対応は、当然ながら共感する人もいるのだが、行政としてはどうしても縦割り感が否めない。

ユニラブ SDGsスーパーシティゲームズを提供

本学の、キッズ向け理工教育イベント、ユニラブにて、昨年学生らと開発した、
SDGsスーパーシティゲームズ
を小学生高学年と中学生系20名が体験し、SDGsという切り口から都市をどのようによくしていくのか、自ら考えてプレゼンもするカードゲームを通じて楽しく学べたようです。

熊本益城/球磨村仮設住宅調査

徐々に実地の調査も再開。
5年ほど前から仮設住宅の研究を始めたが、学生を連れての調査は初めて。学生も仮設かせつと言っているのだが、見たこともないというのでは話にならない。
昨年は電話とZOOMでお世話になった益城町と球磨村の仮設住宅を調査。
仮設住宅らしい益城町と新しいタイプの球磨村。益城町は地震災害で、球磨村は豪雨災害。

益城町の仮設住宅。既に大多数は転居し、自宅の竣工待ちの数世帯が残るのみ。仮設らしい仮設。

新しいタイプの仮設住宅。北海道のムービングハウス。従来はホテルとして利用されているコンテナ型の木造ユニットを移設して仮設住宅として利用する。県と提供元がリース契約のような形で契約し、利用終了後は元あったホテルの敷地に戻し、再度ホテルとして利用。


北海道仕様の高気密高断熱のため、24時間換気は良いとして、24時間空調を住民に求めた。カビの発生予防が目的で、確かにカビ発生の問題はあったらしい。掃き出し窓がない住宅が多いせいか? 換気量が少ないのか。電気代が高いというクレームはなかったよう。空家になってからもその対応は必要らしいのだが、そこはもったいないと感じているらしい。空いたところから返却できれば良いのだが、ホテルに戻す都合上、一括返却が条件となっているらしい。そこは仕組みとして改善が必要か。払い下げて欲しいという要望も何件かあったらしいが、リース物件なのでお断りとなったらしい。

熊本の全木協熊本県協会(昨年色々とお世話になった久原さんのエバーフィルドが担当。しかも断熱材はつい先日学生が工場見学したデコスのセルロースファイバーを使っている)が担当した県産材を使った仮設住宅。配置以外は仮設住宅感がほぼない。内装の仕上げも普通の家と変わりない。県のインタビューでも一件平均で1千万円ほどかかっているので、相応の品質ということなのだが、こちらは仮設住宅の基本通り、利用後は解体除却される。これは相当もったないない。十分恒久的な住宅として利用できる水準だが、こちらは欲しいという人はいなかったらしい。ムービングハウスと異なり、こちらは普通に基礎がある住宅なので、移設解体費用もそれなりにかかるが、欲しい人はいると思うのだが。県が建てて、村が運営管理をするという縦割りの制度上、村にはその権限がないのだが、何かやりようはあるだろう。

上のムービングハウスは、コンテナ型で基礎がなく、セメント板の上に置かれているだけなので移設は簡単。一方で、床下スペースがないので、インフラとの接合部はこなれていない感じでちょっと工夫が必要そう。

熊大の田中研の学生さんにもMshiki Lab、復興まちづくりセンター ”にじいろ”も案内してもらいました。
皆様、案内有り難うございました。

Satreps-DeLCA 全体会議 @広島大学

広島大学にてSatreps-DeLCA(代表:久保田徹先生)の全体会議。

もはや記憶が定かではないのだが、過去の報告書を見ると、2019年の8月にキックオフの全体会議を東工大でやって以来。
その時には、2020年の春にでも、是非、参加企業であるYKK-APさんのスマートタウンがある黒部で全体会議をやりましょう、と盛り上がったのだが、その後の経過はご存じの通り。

インドネシアで低炭素型のアフォーダブル集合住宅を技術支援、共同研究としてインドネシアの政府関係者、研究者と一緒に作るというプロジェクト。

人材育成も含めての5年プロジェクトなのだが、うち2年はコロナ下で経過。それでも既に成果は出始めており、早稲田でも一名社会人博士を受け入れて、LCAでみた場合のプロトタイピング作りに取り組んでいる。

次回の全体会議は是非、バンドン、ジャカルタで、とオンライン上のインドネシア側参加者にお願いして終了。

これは技術「支援」プロジェクトなのだが、実のところ日本でも実績ないプロジェクトで、本当に試行錯誤なのだ。
というのも、ハイグレードな低炭素型の集合住宅なら日本にも沢山あるが、アフォーダブルとなると全くない。

このプロジェクトは公的なアフォーダブル集合住宅を目差しているわけで、見方によっては日本の住宅政策より進んでいる。
では、日本はということで、低所得者向け公営・公的住宅を全てZEHに改修し、日本における最低基準がZEHであることを示すべきだ、と提案しているのだがどうか。

写真は、社会人博士のRudiさんが我々のチームの全体構想を説明。
卒論生が振られれば卒論の内容を補足という段取りだったのだが、さらっと流れて出番なし。練習不足。

研究室の堀崎航(当時B4)・張美帆(当時B4)が日本建築学会関東支部研究発表会の優秀研究報告集および若手優秀研究報告賞を受賞しました

堀崎君のテーマは
「都市部における太陽光発電導入量を最大化する電力需要調整に関する研究―家電・蓄電池・電気自動車を用いた電力需要調整―」
太陽光発電が都市部でも大量に導入されようとする中、オーバーフローする再生可能エネルギーの蓄電媒体としての電気自動車の可能性を、建物側の需要特性と自動車側の利用実態を合成して検討したものです。

張さんのテーマは
「インドネシアの集合住宅における部屋ごとの窓開閉パターンと影響要因に関する研究
コロナ禍ならではのWeb調査。インドネシアの人々が夜でも窓を開けない理由は、セキュリティへの不安と、窓がガタついて開かないから。
というものでした。通風の確保で省エネルギー云々以前の問題が明らかになり、施工精度が重要ということを明らかにしました。

熊野市遊木の空家

熊野市の製材所、野地木材工業と木のまちづくりということで共同研究を行ってきたが、派生プロジェクト。
市中心部から車で15分ほど。「千と千尋の神隠し」的な、木々のせり出す細い山道を抜けたところにある遊木集落。ここで育った女性が市街地に家を建て、売りにでた両親、祖父が暮らした家。元はサンマ漁で栄えた漁港だが、サンマの不漁、高齢化で過疎が進む。

この小さく、静かな漁村の空家。

買った人の立場ではちゃんと儲けないといけない。
プロジェクトとしては、地元の木や環境を活かした、地域のためになるプロジェクトを考えています。

2022年度 研究員・学生

研究員

脇田健裕(理工研 客員主任研究員 研究院客員准教授 )
上野貴広(建築学科 専任講師(任期付き))
木原己人(研究員)
Abdalmajeed Ahmed(CEメジャー 次席研究員)

博士課程2年

Rudi Setiadji Agustiningtyas

修士2年

加藤 桜椰風
坂西 悠太
関根 海央
千賀 由香
チン ケツカ
豊住 亮太
西入 俊太朗
藤井 海
藤本 佳那
星野 希実

修士1年

上田 紘暉
梅澤 美菜
大島 玲奈
太田 敦揮
斉藤 瑠加
張 美帆
西出 知世
古田 祥一朗
堀崎 航
吉井 萌理

卒論生(学部4年生)

朱宮 幹子
銅木 彩人
樋口 恵佑
宮本 圭吾
石倉 怜恩
大久保 優輝
大竹 平雅
境 操斗
長島 怜生
横倉 央樹

秘書

アジズ 幸子

カーボンプライシングのフロンティア

政経の有村先生らとのプロジェクトで書いた「カーボンプライシングのフロンティア」

第11章 建築のスマート化と脱炭素の社会システムを担当しました。
無事刊行できて良かったです。締め切り守れずご迷惑をおかけしました m(._.)m
https://www.amazon.co.jp/…/ref=dbs_a_def_rwt_bibl_vppi_i4

共著者の一人、大聖先生と大学内ですれ違ったとき、つれづれ草のところは良かった、とお褒め頂く。
励みになります。