熊野サミット2022

熊野市の野地木材さんに呼ばれて熊野に通い始めて10年。
途中で多くの大学が同様に研究や調査、支援活動に入っていることがわかって、横連携しようと始めたのが熊野サミット。伊勢でサミットがあったので、ノリでつけてしまった名前だがこんなに続くとは。

早稲田、三重大、近大、相模女子大が活動内容をそれぞれ報告。今年は特別講演として、鹿児島大学の鷹野敦先生もお招きして話を聞き、その後は「くまのこどもだいがっこう」づくりにむけたプログラムづくりワークショップ。

研究室からは修士1年生の堀崎君が発表。
二日前にできあがったポスターを見せてもらったのですが、ややインパクト不足でやり直し。

総合防災訓練に参加

仙台市泉区の総合防災訓練に参加。
訓練に参加するだけなら、東京のでいいわけだが、今回はエコスクールやZEB対応となった小学校で、太陽光発電などの使い方のヒヤリングも兼ねていたので、このような仕儀になった。

ところが担当の学生が体調不良で不参加となり、インタビューは延期に。防災訓練は年に一回しかないので参加決行となった次第。

折角なので、防災訓練の見学中に、防災訓練のやり方やかかった時間などを計測。避難所でのパーティションの設営にかかる時間、自家発電装置の説明や初めての使用までにかかる時間など。

参加者はいろいろな所を廻って体験や訓練をするのだが、調査担当の学生は一つの訓練を二度、三度と観察して疑問点を見つけては担当者に確認してと、それなりに密な調査に。

面白かったのが、最近普及しているHONDAの小型発電機(カセットコンロのボンベ2本で、900Wが2,3時間いける)の訓練。
ボンベの首の所には、1cmほどの切欠きがあって、それを下向きにしないとロックがうまくいかない。ところがこの切欠きが下になるようにとの指示で、参加者はこれがなかなかうまくできない。蓋のうらには向きなどの指示が書かれているのだが、字が小さくて読まれない。

そのうち参加者から、なぜボンベを上向きにセットするように設計しないのか? と、至極真っ当な疑問と怒り。確かにそうだと思う。

むつざわスマートウェルネスタウン

バイオマスコジェネの災害時の活用と経済性を研究している学生に便乗して、睦沢のむつざわスマートウェルネスタウンを見学に。
2019年の台風での被害で停電が発生した際、コジェネが稼働して周りが停電するなか、ここはコジェネが稼働してシャワーや携帯の充電などを提供したことで一躍有名になった。ここが面白いのは、千葉のこの辺は、日本では珍しく天然ガスが湧いていて、都市ガスも地産できていること。
災害時に発電できたことと、天然ガスが地産であることには直接関係はないが、森林というエネルギーが周辺にあり、それを使ってバイオマスコジェネを動かす、というアイデアとフレームは同じ。

スマート、ウェルネス、今時のマーケティング用語がてんこ盛り。
要はウェルネスとして道の駅に温浴施設を併設、その熱源としてコジェネを導入、その以外にもPVや太陽熱も入れて、併設された町営住宅に自営線を引いて供給。そのための電力会社(PPS)も設立して、その他の町営の施設に供給している。いろいろな補助金を使い倒して上手く組みたてている。プロジェクトとしては、やや設備的にオーバースペックな感じはするが、補助金を取るためのテクニックでもあるし、全体としては矛盾はなく、いいプロジェクトだと感じる。

共同研究先の屋上芋緑化収穫

室外機の間に棚を作って芋を水耕栽培。
日かげになる効果も一定あるが、効果としては排気のショートサーキット抑止の方が大きい。
芋の炭素固定量や水耕栽培に関わるエネルギーなんかも計算しています。
この日は、ビルオーナー関係者らがわちゃわちゃと収穫。

この辺のイベント開催を、ビル管理会社の付加価値として付加していきたいのだが。

SDGsスーパーシティゲームMini & ウッドビルダースゲーム

研究室では環境教育教材の開発を修士1年生の演習として行っていますが、今年は新版ウッドビルダーズと昨年作ったSDGsスーパーシティゲーム廉価版を出品。
昨年よりも人多く、外国人もかなり大勢参加していました。こういう会だったのね。

ウッドビルダーズは、国産材と外国産材の利用が、国内の森林の活性化やCO2固定と結びついているかを、工務店の収入(利益追求)との天秤に掛けながら、両立を競うゲームで、小学校高学年から中学生辺りが対象。SDGsスーパーシティゲームは、お題となった都市をテーマに、都市開発の多面的側面からSDGsを学ぶというゲームです。

お問合せなどはこちら。共同開発者です。
https://insplace.co.jp/service/sdgs_supercitygame/

攻めるね~。



熊野遊木 五百生の家 プロジェクト

9月末、熊野遊木再訪。
熊野市の数ある入江の一つにある小さな漁村、遊木にある漁家。
ひときわ目立つRC造で、さぞ昔は儲かったんだろう。
この辺りはサンマ漁が盛んで、かなり遠くまで出かける船もあるようだが、最近は不漁で景気は良くないらしい。
この漁家も先々代までは漁師だったが、先代は漁師にならず、この家主は市街地で食堂を経営している。

現在の家主は、手広く商売をしているM氏。熊野には何度も行っているが、知らないうちにお世話になっていた御仁。
元の家主からこの家を入手した経緯は、それほど積極的なものではないが、商売人としての算段はあったのだろう。

ということで、前日に研究室で作った提案をプレゼン。OKということで翌日は早速解体工事。
研究室5人と僕の6人、ぷらすM氏の舎弟の高校生2人。研究室5人は男子2人に女子3人。男子は2人ともエバンゲリオンの体格(細身という意味)で、やや非力な構成。
M氏ももっと男を連れてこんかいとややご不満なのだが、いやいや、今時女子は男より強力なのです。男子も頑張りました。

朝9時から16時まで作業し、後半は疲れ知らずのラグビー部高校生の独壇場で、みるみる解体が進み、トラック二杯分の建廃を排出。
計算外は、用意してくれたチェーンソーが、壁下の金属のラスを切ってしまって、早々に戦力外。そこかしこに打ち込まれた5寸釘に大苦戦。釘をカットできるマルチソーを用意しておくべきだった・・・・。痛恨。道具大事。

プロジェクトは空家の再生、活用なのだが、地域の再生と地元の木の活用、商品開発含み。
乞うご期待。

タイ 災害防止軽減局 ヒヤリング

タイ内務省のDepartment of Disaster Prevention and Mitigation(Wikiの訳では害防止軽減局)にタイの洪水対策についてヒヤリング。
当初、防災減災の教科書のような説明があって、「何しに来たん?」的なやり取りがあり、
そんなことは分かってんねんけど、土木的な対策と建築的な役割分担、みたいなのが洪水先進国としてのタイにはないんか?

と聞くと、ようやく分かった風で議論が始まる。
答えは「ない」。が自治体レベルではリスクのレベルに応じた規制がかかることもあるが、建ぺい率や被覆の浸透性に関する規制がある程度。

向こうからは、担当部局の役人や研究所の研究員も参加してくれたのだが、研究員っぽい方が非常に関心を持ってくれた。
完全に土木的に解決するとなると、ここからは撤退せよ、という地域が出てくるが、建築的な対策をすれば住み続けられるよ! 的なホリスティックな対応は、当然ながら共感する人もいるのだが、行政としてはどうしても縦割り感が否めない。

ユニラブ SDGsスーパーシティゲームズを提供

本学の、キッズ向け理工教育イベント、ユニラブにて、昨年学生らと開発した、
SDGsスーパーシティゲームズ
を小学生高学年と中学生系20名が体験し、SDGsという切り口から都市をどのようによくしていくのか、自ら考えてプレゼンもするカードゲームを通じて楽しく学べたようです。

熊本益城/球磨村仮設住宅調査

徐々に実地の調査も再開。
5年ほど前から仮設住宅の研究を始めたが、学生を連れての調査は初めて。学生も仮設かせつと言っているのだが、見たこともないというのでは話にならない。
昨年は電話とZOOMでお世話になった益城町と球磨村の仮設住宅を調査。
仮設住宅らしい益城町と新しいタイプの球磨村。益城町は地震災害で、球磨村は豪雨災害。

益城町の仮設住宅。既に大多数は転居し、自宅の竣工待ちの数世帯が残るのみ。仮設らしい仮設。

新しいタイプの仮設住宅。北海道のムービングハウス。従来はホテルとして利用されているコンテナ型の木造ユニットを移設して仮設住宅として利用する。県と提供元がリース契約のような形で契約し、利用終了後は元あったホテルの敷地に戻し、再度ホテルとして利用。


北海道仕様の高気密高断熱のため、24時間換気は良いとして、24時間空調を住民に求めた。カビの発生予防が目的で、確かにカビ発生の問題はあったらしい。掃き出し窓がない住宅が多いせいか? 換気量が少ないのか。電気代が高いというクレームはなかったよう。空家になってからもその対応は必要らしいのだが、そこはもったいないと感じているらしい。空いたところから返却できれば良いのだが、ホテルに戻す都合上、一括返却が条件となっているらしい。そこは仕組みとして改善が必要か。払い下げて欲しいという要望も何件かあったらしいが、リース物件なのでお断りとなったらしい。

熊本の全木協熊本県協会(昨年色々とお世話になった久原さんのエバーフィルドが担当。しかも断熱材はつい先日学生が工場見学したデコスのセルロースファイバーを使っている)が担当した県産材を使った仮設住宅。配置以外は仮設住宅感がほぼない。内装の仕上げも普通の家と変わりない。県のインタビューでも一件平均で1千万円ほどかかっているので、相応の品質ということなのだが、こちらは仮設住宅の基本通り、利用後は解体除却される。これは相当もったないない。十分恒久的な住宅として利用できる水準だが、こちらは欲しいという人はいなかったらしい。ムービングハウスと異なり、こちらは普通に基礎がある住宅なので、移設解体費用もそれなりにかかるが、欲しい人はいると思うのだが。県が建てて、村が運営管理をするという縦割りの制度上、村にはその権限がないのだが、何かやりようはあるだろう。

上のムービングハウスは、コンテナ型で基礎がなく、セメント板の上に置かれているだけなので移設は簡単。一方で、床下スペースがないので、インフラとの接合部はこなれていない感じでちょっと工夫が必要そう。

熊大の田中研の学生さんにもMshiki Lab、復興まちづくりセンター ”にじいろ”も案内してもらいました。
皆様、案内有り難うございました。

Satreps-DeLCA 全体会議 @広島大学

広島大学にてSatreps-DeLCA(代表:久保田徹先生)の全体会議。

もはや記憶が定かではないのだが、過去の報告書を見ると、2019年の8月にキックオフの全体会議を東工大でやって以来。
その時には、2020年の春にでも、是非、参加企業であるYKK-APさんのスマートタウンがある黒部で全体会議をやりましょう、と盛り上がったのだが、その後の経過はご存じの通り。

インドネシアで低炭素型のアフォーダブル集合住宅を技術支援、共同研究としてインドネシアの政府関係者、研究者と一緒に作るというプロジェクト。

人材育成も含めての5年プロジェクトなのだが、うち2年はコロナ下で経過。それでも既に成果は出始めており、早稲田でも一名社会人博士を受け入れて、LCAでみた場合のプロトタイピング作りに取り組んでいる。

次回の全体会議は是非、バンドン、ジャカルタで、とオンライン上のインドネシア側参加者にお願いして終了。

これは技術「支援」プロジェクトなのだが、実のところ日本でも実績ないプロジェクトで、本当に試行錯誤なのだ。
というのも、ハイグレードな低炭素型の集合住宅なら日本にも沢山あるが、アフォーダブルとなると全くない。

このプロジェクトは公的なアフォーダブル集合住宅を目差しているわけで、見方によっては日本の住宅政策より進んでいる。
では、日本はということで、低所得者向け公営・公的住宅を全てZEHに改修し、日本における最低基準がZEHであることを示すべきだ、と提案しているのだがどうか。

写真は、社会人博士のRudiさんが我々のチームの全体構想を説明。
卒論生が振られれば卒論の内容を補足という段取りだったのだが、さらっと流れて出番なし。練習不足。

2021年度版 災害発生時の避難所設備運用マニュアル(案)

小学校などが避難所として利用されることは多く、災害対応マニュアルも整備が進んできましたが、太陽光発電などの発電設備がある場合、それが使えれば避難生活も随分と楽になるんじゃないか? と思うわけですが、その利用を進めるためのルールは全く整備されていません。

そこで研究室で作成した、利用の為のマニュアルを作成するためのマニュアル。災害発生時の避難所設備運用マニュアル(ひな形)を作成しましたので公開します。

不十分な点もあると思いますが、議論のきっかけになればと思います。

PDF版をここからダウンロードできます。

熊野市遊木の空家

熊野市の製材所、野地木材工業と木のまちづくりということで共同研究を行ってきたが、派生プロジェクト。
市中心部から車で15分ほど。「千と千尋の神隠し」的な、木々のせり出す細い山道を抜けたところにある遊木集落。ここで育った女性が市街地に家を建て、売りにでた両親、祖父が暮らした家。元はサンマ漁で栄えた漁港だが、サンマの不漁、高齢化で過疎が進む。

この小さく、静かな漁村の空家。

買った人の立場ではちゃんと儲けないといけない。
プロジェクトとしては、地元の木や環境を活かした、地域のためになるプロジェクトを考えています。