20110514 東電の夏の供給量 実は足りることになりましたとさ
昨日、東京電力からプレスリリースがあり、夏の供給力が
7月で5520万kW
8月で5620万kW
http://www.tepco.co.jp/cc/press/11051304-j.html
となった。
一ヶ月前に5200万kWとのリリースがあったので、一ヶ月で420万kWを都合つけたことになる。産経新聞には、夏のピークは5500万kWと予想しているので、8月の余剰120万kW東北電力に廻すという計画とあった。電力不足どころか、よそに融通できる立場になった。少なくとも東京電力管区に関しては、省エネなんぞ全くしなくとも、気温が例年通りであれば、全く問題なしということである。猛暑になれば、供給力を越える可能性もあるが、現在行っている照明やパソコンの省エネを続ければ、景気低迷や節電マインドの高まりもあり、空調などを過度に厳しくしなくとも乗り越えられるだろう。
それでも政府は引き続き15%の節約を民生部門に求めている。小生も政府のこの立場には基本的に賛成。
一つは、増やした供給力のほとんどが長期計画停止中の旧型火力の再稼働によるものだからである。当然、これからは大気汚染物質やCO2を発生させる。また、東京電力の社長は、火力の燃料代の負担増を1兆円とニュースで発言していた。東電の経常利益は連結で2400億円もあるのだが、それでも5年分が1年にして吹き飛ぶ勘定になる。特損を入れた純利益は1100億円になってしまうので、純利益では9年分吹き飛ぶことになる。
しかも、これは1年だけではなく、原発が再起動されるまで当分続くわけて、これが電力代に跳ね返らない訳がない。
福島の補償を政府が払うか東電が払うか、ナンセンスな議論が続いたが、どちらにしても全国の納税者か、東電管区の電気利用者かの違いであって、大した違いはない。むしろどうすれば手続きが簡素で、余計な手続きや組織(既に「機構」なる天下り組織ができることになった)が増えない方策を考えた方が良い。
そう考えると、電気代に上乗せするのが一番手続きか簡単で、しかも節電に対して最も効果的だ。
しかし、一律に上げるのは、電力多消費型の産業を疲弊させることにもなるので、メリハリのきいた料金体系とすべきだ。一所懸命省エネした事業所や家庭は、削減量以上のメリットがあるような、新たな料金体系に作り替えるべきだ。
その為にも、時刻別の消費量を料金に反映できる、スマートメーターに今すぐに切り換えるよう提案する。そもそもメーターは10年に一度取り換える必要があるので、東電は順次スマートメーターに切り替える方針だった。この際1兆円の燃料代増加か少しでも減らせるなら、一気に投資すべきだ。
これは何も新しいアイデアではなく、昔からデマンドサイドマネジメントとして知られていたことである。恩師の尾島先生が、10年ほど前東京電力を含めてデマンドサイドマネジメント研究会(DSM研究会)なる研究を立ち上げ研究をしていたので、その成果を持った人材は東京電力内に既にいる。
まとめると、
1,この夏のために、大騒ぎして節電をする必要はなくなった
2,電力の大半が火力になったので、CO2排出量の増加や電力
料金の値上げは避けられない。税金だとしても支払うのは
同じ国民
3,スマートメーターという、道具がそろいデマンドサイドマ
ネジメントが可能になってきた。工夫や努力をした事業者
や家庭がより報われる仕組み作りは難しくないし、研究の
蓄積もある
小生としては、予想していたことではあるが、割合早い段階で足りることが分かって少々残念。これを契機に、本当に日本の夏の暮らし方これで良いのか、余暇のあり方はこれで良いのか、等々日本という国柄に関わる本質的な議論が、もっとできるのではないかと思っていたからだ。
これについては、また改めて書きたい。